『ラストビーム ― 最後の1mmに賭けた命』を、もう一度。

昨年もっとも読まれたコラム
2026年の始まりに、
昨年もっとも多く読まれ、シェアされ、語られたコラムを振り返ります。
それが――
『ラストビーム ― 最後の1mmに賭けた命』。
今田美緒主演、2026年新春公開という話題性だけでなく、
「放射線治療」という、これまで映画の主役になりにくかった医療分野を
真正面から描いた作品として、大きな反響を呼びました。
「ラストビーム」とはどんな映画か?
本作は、
がんと向き合う患者、放射線治療医、放射線技師、医学物理士
それぞれの立場を交差させながら、
“最後の1mm”が、人生を左右する現場
を描いた医療ヒューマンドラマです。
タイトルに込められた意味
- ラスト:
手術も抗がん剤も尽きたあとに残された選択 - ビーム:
目に見えないが、確かに命を支える放射線 - 最後の1mm:
治療計画・照射精度・判断の重み
この映画は、
「奇跡」ではなく
**“積み重ねられた技術と判断”**が命を救う瞬間を描きます。
なぜこの映画が医療者に刺さったのか?
理由は、リアルすぎるほど“現場”だったから。
① 放射線治療が「脇役」ではない
多くの医療ドラマでは、
- 放射線は検査の一部
- CTやMRIは説明用の背景
として描かれがちです。
しかし「ラストビーム」では、
- 治療計画
- マージン設定
- 患者固定
- 照射再現性
といった地味で重要な工程が物語の核心にあります。
②「1mmのズレ」が持つ意味を描いた
映画のクライマックスで語られるのは、
「1mm外せば救えない」
「1mm詰めれば副作用が増える」
という、放射線治療医が日常的に抱える葛藤。
これは誇張ではなく、
実際の高精度放射線治療(IMRT・SBRT・粒子線)で
常に突きつけられる現実です。
③ チーム医療としての放射線治療
本作では、
- 医師だけが主役ではない
- 技師、物理士、看護師の判断が積み重なる
“誰か一人が欠けたら成立しない医療”
として放射線治療が描かれます。
これは多くの医療者から、
「現場そのまま」
「よくここまで描いた」
と評価された理由でもあります。
主演・今田美緒が演じた「立ち位置」
今田美緒が演じる主人公は、
- 決して天才ではない
- 迷い、揺れ、失敗もする
しかし、
患者の前で“逃げない”
その姿勢が一貫しています。
派手な名セリフよりも、
- 無言の判断
- 沈黙の時間
- 決断の重さ
が印象に残る演技でした。
なぜ一般の人にも響いたのか?
この映画が医療者だけでなく、
一般層にも支持された理由は明確です。
✔ 「がん治療の現実」を誠実に描いた
- 治療は万能ではない
- 副作用もある
- それでも選び続ける
希望だけを売らない姿勢が、
かえって信頼を生みました。
✔ 放射線治療への誤解を静かにほどいた
- 怖い
- 最後の手段
- 危険
というイメージではなく、
「緻密で、理性的で、人間的な医療」
として描かれたことが大きい。
昨年、このコラムが読まれた理由
この映画を紹介した昨年のコラムは、
- 医療者
- 医学生
- 受験生
- 患者家族
と、想定以上に幅広い層に読まれました。
理由はシンプルです。
放射線治療を「説明」ではなく
「物語」として伝えたから
2026年、改めてこの映画を振り返る意味
医療は、AI・自動化・高精度化が進みます。
それでも最後に問われるのは、
- どこまで攻めるか
- どこで守るか
- 誰のための1mmか
という人間の判断。
「ラストビーム」は、
技術の話をしながら、
最終的には“人の覚悟”を描いた映画です。
まとめ
- 放射線治療が主役の希少な映画
- 医療者が見ても違和感の少ないリアリティ
- 「1mm」という象徴的なテーマ
- チーム医療の重み
だからこそ、この作品は
2026年の今、もう一度語られる価値がある。
昨年読んだ方も、
初めて知った方も、
ぜひもう一度、この物語に触れてみてください。

