がんをたたくには副作用対策が必須!

2026年注目の支持療法論文3選
「抗がん剤を続けられるかどうか」は支持療法で決まる
近年のがん治療は、
免疫療法
分子標的薬
抗体薬物複合体(ADC)
高精度放射線治療
などが次々と登場している。
しかし、
どれだけ優れた治療でも、
副作用で治療が中断してしまえば十分な効果は得られない。
だから今、世界中の学会で最も注目されている分野の一つが
支持療法(Supportive Care)
なのである。
以前は「脇役」と考えられていた支持療法が、
今では治療成績そのものを左右する時代になった。
今回は2026年に話題となった支持療法領域から、特に臨床現場で役立つ3つのテーマを紹介する。
論文①
放射線皮膚炎は「治療する」から「予防する」へ
放射線治療では、
乳がん
頭頸部がん
直腸がん
などで皮膚炎が問題になる。
2026年、MASCC(Multinational Association of Supportive Care in Cancer)は、
急性放射線皮膚炎に対する外用ステロイド使用
について新たな臨床ステートメントを発表した。
従来は症状が出てから治療する施設が多かったが、
現在は
重症化する前から予防的に介入する
という考え方へ変わっている。
これは患者さんのQOLだけでなく、
治療完遂率にも大きく関わる。
論文②
がん悪液質は「食べなさい」では改善しない
体重減少や筋力低下は、
進行がん患者で非常に重要な問題である。
2026年のレビューでは、
悪液質に対して
- 栄養療法
- 運動療法
- 抗炎症治療
- 新規薬剤
を組み合わせる「集学的支持療法」が今後の中心になるとまとめられた。
つまり、
栄養剤だけでは不十分。
運動だけでも不十分。
支持療法も「組み合わせ」が重要なのである。
論文③
口内炎は一時的な副作用ではない
抗がん剤や頭頸部放射線治療で起こる口腔粘膜炎。
「治療が終われば治る」
と思われがちだが、
2026年には
重症粘膜炎が長期の栄養障害やQOL低下につながる
ことが改めて報告された。
MASCC/ISOOでも、
口腔ケアや光線療法(Photobiomodulation)などを含めた予防戦略が重視されている。
放射線治療医にとっても非常に重要なテーマである。
支持療法は「治療を支える医療」
昔の支持療法は、
副作用が出たら対応する医療だった。
しかし現在は違う。
今は、
- 副作用を予測する
- 予防する
- 治療を中断させない
ことが目的になっている。
支持療法は、
がん治療の「脇役」ではない。
治療を最後まで完遂するための「主役」の一つなのである。
放射線治療医だからこそ知っておきたい
放射線治療では、
- 放射線皮膚炎
- 粘膜炎
- 嚥下障害
- 栄養障害
- 倦怠感
など、多くの支持療法が必要になる。
高精度放射線治療が進歩しても、
患者さんの生活を支えるのは支持療法である。
装置ではなく患者利益。
ここでも、この考え方は変わらない。
まとめ
2026年の支持療法研究は、
「副作用が出てから治療する」
から、
「副作用を予防して治療を完遂する」
時代へ進んでいることを示している。
特に注目すべきテーマは、
- 放射線皮膚炎の予防
- がん悪液質への集学的介入
- 口腔粘膜炎の長期管理
である。
AIや新規抗がん剤が進歩しても、
患者さんが最後まで治療を受けられなければ意味がない。
がんをたたくには、
副作用対策が必須なのである。
参考文献
- MASCC Clinical Practice Statement for Acute Radiation Dermatitis (2026).
- Del Fabbro E, et al. The Role of New Agents and Supportive Care in Cancer Cachexia. Cancers. 2026.
- Satheeshkumar PS, et al. Long-Term Clinical Consequences of Severe Oral Mucositis. 2026.
- MASCC/ISOO Supportive Care Guidelines.


