最近の放射線治療の話題

1. 前立腺がんに対する標的放射線療法「Pluvicto」の早期使用の可能性
ノバルティス社の標的放射線療法薬「Pluvicto」は、ホルモン療法に反応する転移性前立腺がん患者において、病状の進行を遅らせる有望な結果を示しました。現在はホルモン療法が無効となった段階で使用が承認されていますが、今回の第III相試験では、早期段階での使用による臨床的に有意な無増悪生存期間の延長と全生存期間の改善傾向が報告されました。詳細な結果は今後の医学会議で発表される予定です。 reuters.com
2. 子宮頸がんの死亡率を40%低下させる新たな治療レジメン
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが主導した国際共同研究「Interlace試験」では、標準的な化学放射線療法(CRT)の前に短期間の化学療法を追加することで、5年後の死亡リスクが40%、再発リスクが35%低下することが示されました。この新しい治療法は既存の薬剤を用いており、コスト効率が高く、世界中で迅速に導入可能とされています。 theguardian.com+1thetimes.co.uk+1
3. 肺がん治療における高精度放射線療法の進展
『Japanese Journal of Radiology』に掲載された総説論文では、肺がん治療における最新の放射線療法技術の進展がまとめられています。特に、定位放射線治療(SBRT)や強度変調放射線療法(IMRT)、粒子線治療(陽子線・重粒子線)などの高精度治療法が、局所制御率の向上や副作用の軽減に寄与していることが報告されています。また、2024年からは日本で早期肺がんに対する粒子線治療が保険適用となり、治療の選択肢が広がっています。 link.springer.com
4. FLASH放射線療法のメカニズムと臨床応用の可能性
FLASH放射線療法は、超高線量率(≥40 Gy/s)で照射を行う新しい治療法で、正常組織へのダメージを最小限に抑えつつ、腫瘍細胞を効果的に破壊する可能性があります。そのメカニズムとして、酸素消費の抑制や免疫応答の変化、幹細胞ニッチの保護などが考えられており、現在も研究が進められています。臨床応用に向けた試験も開始されており、今後の展開が期待されます。 en.wikipedia.org
5. 人工知能(AI)を活用した放射線治療の最前線
AI技術の進展により、放射線治療の各段階での精度と効率が向上しています。特に、腫瘍の自動輪郭抽出(オートセグメンテーション)や適応放射線治療(ART)、リアルタイムの動体追跡などにAIが活用されており、個別化医療の実現に寄与しています。これらの技術は、治療計画の最適化や副作用の軽減にもつながっています。