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🩺 QA/QCを「人間の手でやる」のは、最終的な安全と責任を保証できるのが人間だけだから

■ 放射線治療の精度は「ミリ単位」の世界

放射線治療は、がんのある部位にだけピンポイントで高線量の放射線を照射し、周囲の正常な臓器をできるだけ守る医療です。
そのため、1ミリのズレや1%の出力誤差が治療効果や副作用に直結します。

この精密さを支えているのが QA/QC(Quality Assurance / Quality Control)、つまり「品質保証と品質管理」です。
装置が正しく動いているか、線量が正しいか、照射位置がズレていないか。
それらを毎日・毎週・毎月・毎年、細かくチェックしていくのが放射線治療チームの使命です。


■ 「水が入った円柱」が象徴する“人の手”の仕事

放射線治療室でよく見かけるのが、水が入った円柱のファントム
これは人体と同じような特性を持つ水の中で、ビームがどれだけの線量を出しているかを実際に測る装置です。
その中に電離箱という線量計を差し込み、医師や物理士、技師が慎重にデータを取ります。

一見、地味で手間のかかる作業です。
しかし、この手作業こそが「機械が正しく動いている」という唯一の確証なのです。
たとえAIが異常を検知できるようになっても、
「この線量差は臨床的に許容範囲か」「患者の安全を脅かすレベルか」
という最終判断は、まだ人間の経験と責任に委ねられています。


■ 自動化は進んでも、「人の判断」は置き換えられない

最近では、自動QAシステム(SunCHECK、Machine QAなど)が登場し、
日常点検や出力確認の一部はコンピュータが代行できるようになりました。

EPID(電子ポータルイメージングデバイス)でビームを撮影し、
プログラムが自動的に線量や位置を解析して結果を出してくれます。

それでも、最終的に「OK」とサインするのは人間です。
機械が正常値を出していても、現場の医師や物理士が「このデータはおかしい」と気づくことがあります。
その直感や経験は、今のAIには真似できません。


■ QA/QCが「面倒」でも手を抜けない理由

放射線治療のQA/QCは、正直に言えば時間がかかります。
毎朝の出力チェック、週ごとのレーザー位置確認、月次の平坦度・対称性測定……。
多くのスタッフが「またこの時間か」と思いながらも、決して省略はしません。

なぜなら、
「安全の積み重ね」は事故を防ぐ最強の盾になるからです。

世界では過去に、QA/QCの省略が原因で大きな放射線事故が起きています。
1回のエラーが、患者に致命的な線量を与えてしまった例もあります。
人間が確認し、記録し、署名する。
そのプロセス自体が「安全文化(Safety Culture)」の象徴なのです。


■ 法律と倫理の両面からも「人間の関与」が必須

日本の医療法やJASTRO(日本放射線腫瘍学会)のガイドラインでも、
放射線治療機器の性能管理は**「医療従事者が責任をもって行うこと」**と明記されています。

つまり、AIや自動化に頼り切ることは法律的にも認められていません。
機械が出した結果を、人間が確認し、記録として残すことが求められます。

医療事故が起きた場合、責任を問われるのは装置ではなく「人間」。
だからこそ、最終的な安全を保証するのは人の目と手なのです。


■ 技術が進んでも、「信頼」は人に宿る

近年、AIは驚くべきスピードで進化しています。
線量計算、輪郭抽出、治療計画、画像評価など、
放射線治療の現場でもAI支援ツールが次々に登場しています。

それでも、患者さんが安心して治療を受けられるのは、
「人が最後に確認してくれている」という信頼があるからです。

完全自動化された世界では、誰も異常に気づけない。
だからこそ、現場の放射線技師・医学物理士・医師が「人間として」行うQA/QCは、
機械の精度を超えた医療の本質的な安全装置と言えます。


■ 結論:「手作業」は時代遅れではなく、信頼の証

放射線治療のQA/QCを「人間の手でやる」のは、
単に古い慣習ではなく、患者の命を守る最後の砦です。

人の感覚・経験・責任が集まった“人間の判断”こそ、
どんなAIよりも強い安全保障です。

機械の精度を信じることと、
人の判断を信じること。
この二つが共存する限り、放射線治療は進化し続けながらも、
“安全な医療”であり続けるのです。


🩶 まとめ

QA/QCを「人間の手でやる」のは、
最終的な安全と責任を保証できるのが人間だけだから。

面倒な作業の一つひとつが、
未来の患者を守る「見えない安全装置」なのです。

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