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「まず切る」だけじゃない! エビデンスに基づくがん治療のバランス

講談社の『子宮がん・卵巣がんは手術でなおす』は、確かに“手術を最優先する”視点から書かれており、外科医としての使命がにじみ出た本です。けれど、現代のがん医療は「手術一択」では語り切れません。「手術・放射線・化学療法」が対等なパートナーとしてバランスよく使われる時代です。ここでは最新の臨床試験やガイドラインを通じて、この極論にエビデンスベースで反論していきます。


1. 手術だけで治療する時代は過ぎた!化学放射線療法(CCRT)の重要性

子宮頸がん(ステージIIB以降)では、**根治的放射線化学療法(CCRT)**が世界的に標準治療となっています。特に筋層浸潤がんでは、ICGRTは手術を含めた選択肢と同等以上の成果を示しており、国際的なガイドラインでも推奨されています。
また、EORTC-55994試験では術前化学療法+手術 vs CCRTで比較され、いずれも生存率に差がなく、CCRTが有効な代替として立証されています ASCO Journals


2. 「切ってみてわかる」はもう古い?術前診断精度の進化

以前の主張では「がんは手術してみないと確実にわからない」という理屈が用いられましたが、現在では画像診断(MRI、PET-CT等)の精度向上により、手術前から十分なステージ分類や進展評価が可能です。したがって「とりあえず切るべき」という論法は、医療技術の進化に伴い、もはや過去の遺物と言えます。


3. 根拠ある選択を!手術と放射線治療の比較

がんの種類・進行度によってはCCRTが手術より優れている場合もありますし、逆のケースもあります。たとえば一部進行がんでは、術後合併症リスクを避けるためにCCRTが望まれることもあるのです。要は“患者ごとの個別戦略”が欠かせません。

さらに晩期のメタ解析では、術前化学療法+手術に比べて、CCRTがPFS(無増悪生存期間)やOS(全生存期間)において優れる場合ありと報告されています IIAR Journals婦人科がん国際ジャーナル


4. 最新成果への注目:化学療法→CCRTの新治療戦略

極めつけは、2024年に発表されたランセトでのINTERLACE試験。ここでは、局所進行子宮頸がんに対し、まず短期間の導入化学療法を行ってからCCRTを行うことで、死亡リスクが40%減、再発リスクが35%減という劇的な成果が報告されています ガーディアンタイムズ。まさに“治療の順番”が大きな効果差を生み出す、エビデンスに基づく進化です。


5. 手術至上主義はコストとQOLに目をつぶる?

手術には、麻酔や術後管理、入院期間、傷跡や機能障害といったリアルなリスクと負担が伴います。一方、CCRTやICRT+化学療法は、より短期間、低侵襲で済むケースも多く、QOLを守りながら治療効果を出す方法として注目されています。

また、術前化学療法を使う戦略(INTERLACEなど)は、高齢者や合併症を抱える患者にも配慮されたスキームである点も見逃せません。


まとめ:治療は“オールラウンダー”で選ぶ時代

  • 手術だけが正義ではない。根治的な治療は、手術、放射線、化学療法を適切に組み合わせることにあります。
  • エビデンスが示す進化:EORTCやINTERLACEなどの試験が、戦略的選択肢の根拠を提供しています。
  • 個別化医療の時代:病期、合併症、生活背景などを踏まえ、「最良のパッケージ」を考えるべきです。
  • 本書の主張は一面の真実として尊重しつつ、それに囚われない広い視野を持ちましょう。

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