オートコンツアリングは「研究段階」から「当たり前に使うツール」へ完全に移行

1. いま世界での位置づけ:OARは“AIで描いて、人がチェック”が主流
2025年の国際アンケートでは、
- 約 2/3 の施設が AIベースのオートコンツアリングを日常診療で使用
- 90%以上が「脳・頭頸部・胸部・腹部・骨盤のOAR」に活用
- 88.8%が「時間短縮あり」、そのうち約4割は1症例あたり11〜20分短縮と回答 スプリンガーリンク
また近年のレビュー論文でも、
ディープラーニング(DL)ベースの自動輪郭が、従来のアトラスベースより精度・速度とも優れるという結論がほぼコンセンサスになっています。スプリンガーリンク+1
とはいえ「完全自動でノーチェックOK」ではなく、
**“AIが描き、人が確認して微修正する”**のが現実的な落としどころです。NICE
2. 企業別・代表的なソリューション
2-1. Varian(Siemens Healthineers) – Eclipse Smart Segmentation 系
- もともとは Smart Segmentation(SS) というアトラスベースが中心。
- 肺・前立腺・肝などで、幾何精度・線量影響を評価した研究が複数あり、
「手修正すれば臨床使用に十分」という結果が多いです。PMC+2Wiley Online Library+2 - 最近のバージョン(Eclipse v15〜18 以降、Ethos 連携など)では、
DLベースモデルも搭載されつつあり, OARを数分以内に自動輪郭。
👉 特徴:
- Eclipseユーザーなら追加投資少なく使える
- TBI・Y-90など特殊領域でも研究報告ありResearchGate+1
2-2. RaySearch(RayStation) – Deep Learning Segmentation
- RayStation の DL segmentation は GPU実装でかなり高速。
メーカー公式でも「ガイドラインに基づき学習したモデルを各部位ごとに提供」としています。RaySearch Laboratories - 2025年の頭頸部OAR大規模評価では、
幾何学的指標と線量影響ともに良好で、
「臨床的に受け入れ可能」と結論づけています。clinicaloncologyonline.net - RayStation 2024B では、DLモデルを外部TPS(Eclipseなど)から呼び出す連携も報告されており、マルチベンダー環境でも使いやすくなっています。Viamedica Journals
👉 特徴:
- H&N・骨盤のOARに強い
- Adaptive RT ワークフローと親和性が高い
2-3. Mirada Medical – DLCExpert(ワークフローBox)
- DLCExpert は CE/FDA 承認済みのDLオートコンツアリング。
- NICE(英国NICE)の技術評価では、
CT/MR上で**160以上の構造(頭頸部・胸部・乳房・前立腺など)**に対応とされています。NICE+1 - Zero-Click™ Workflow Box というプラットフォームで、
DICOMを放り込むとバックグラウンドで自動輪郭まで走る“フル自動”運用が可能。astro.org - 臨床評価では、膀胱・直腸など骨盤OARで大幅な時間短縮と高い臨床受容率が報告。ScienceDirect+1
👉 特徴:
- マルチTPS環境に載せやすい「スタンドアロン系」
- 欧州・英国の大規模施設での実績が多い
2-4. MVision AI / Limbus AI / TheraPanacea(ART-Plan) / Radformation など
英国NICEの早期価値評価では、
MVision, Limbus, TheraPanacea ART-Plan, Radformation など4ベンダーのAIオートコンツアリングをまとめてレビュー。NICE+1
- 2024年の臨床比較研究では、
これら4社は頭頸部〜骨盤のOARとリンパ節領域の大部分を、臨床的に有用な精度で輪郭化できたと報告。PMC+1 - ただし臓器によって得意・不得意があり、
小さな構造やリンパ節領域では施設側の QA が必須。
MVision 自身のブログでも、
「数分以内で輪郭生成 → 医師がチェックして修正する」
という運用を前提としています。MVision AI+1
👉 特徴:
- クラウド/サーバー型で小規模施設でも導入しやすい
- 複数ベンダーと連携しやすく、“AIだけ別会社”という選択肢を作れる
2-5. MIM / Brainlab / その他
- MIM:Atlas Segment + 新しいDLモデルでOAR・ターゲット両方に対応。Varian Smart Segmentationとの比較では、肝輪郭で同等〜わずかに優れる報告もあり。ResearchGate+1
- Brainlab / TheraPanacea ART-Plan 統合版:頭頸部〜全身OAR 200構造以上を数分で自動輪郭、最大93%の時間短縮と報告。ResearchGate
3. 実臨床での“今の使われ方”
最近のレビューや実デプロイの報告からみると、実態はこんな感じです👇
- 主用途は OARのオートコンツアリング(脳・H&N・胸腹骨盤)PMC+1
- GTV/CTV は、乳房・前立腺など一部で研究が進んでいるが、
完全自動に任せるのはまだ慎重。ScienceDirect+1 - 時間短縮は 50〜90%。しかし
「最終的に人が見て直す前提」であり、完全ノータッチにはなっていない。Ak Journals+1 - 人種・体型によるバイアスや、トレーニングデータ依存性の問題も議論されており、
施設ごとのローカル検証(幾何+線量+主観評価)が必須とされている。The Green Journal+1
4. これから数年のトレンド予測
- DLモデル標準搭載TPSがデフォルト化
Varian/RaySearch/Elekta などメジャーTPSが自社DLモデルを持ち、
外部AIベンダーは “より高性能・特殊領域” へシフト。 - MR・4D・適応治療との統合
MRベース、4DCT/CBCTベースのオートコンツアリング研究が増加中。
ARTワークフローで「デイリーOAR自動輪郭 → 迅速再計算」が現実的なターゲットです。MVision AI+2ScienceDirect+2 - 品質評価と運用ガイドライン
どのベンダーを使うにせよ、- 幾何学評価(Dice, HD)
- 線量評価(DVH差)
- 臨床医の主観スコア
を組み合わせた “導入時 QA プロトコル” が各国学会から出てくる流れ。スプリンガーリンク+1
5. じゃあ日本の施設はどう選べばいい?
ざっくりいうと:
- Eclipse中心なら
→ Smart Segmentation + 外部AI(Mirada / MVision 等)の組み合わせを検討 - RayStation中心なら
→ 内蔵DL + 必要なら外部AIで補完 - ベンダーミックス環境なら
→ Mirada / MVision / Limbus / ART-Plan のような“TPS非依存系”が相性良し - 導入前に最低限
- 10〜20症例での幾何+線量+主観評価
- 自施設の輪郭ルールへのフィット具合の確認
をやっておくと安心です。


