合同会社ライフカラー、放射線治療用マスク販売

バリアン?エレクタ?放射線治療装置の“世界シェア”と、地域ごとの特徴をざっくり整理

「Varian(バリアン)とElekta(エレクタ)、結局どっちが世界で強いの?」「欧米・中国・インド・アフリカ・日本で、何が違うの?」
この疑問、現場の感覚としては分かりやすい一方で、“シェア”の定義(販売台数/売上/設置台数=installed base)で見え方が変わります。

さらに重要なのは、放射線治療装置はカテゴリ(Linac、brachy、proton等)で競争構造が全く違うこと。まずはそこから整理します。


1) まず「シェア」の見方を揃える(売上?台数?設置台数?)

メーカー別の「地域別シェア」を、誰でも参照できる形で毎年出している公的統計は多くありません。
また、IAEAのDIRAC(世界の放射線治療リソースのデータベース)は非常に有用ですが、一般公開データでは機器のブランド(メーカー名)等が公開されない、という運用になっています。

なのでこの記事では、

  • 公的資料に出ている“カテゴリ別の競争状況”
  • 企業が公表する地域戦略(製造・JV・長期展開)
  • 地域の医療インフラ事情(停電、保守体制、調達方式など)
    から、「傾向」を分かりやすくまとめます。

2) 世界の大枠:LinacはVarianとElektaの2強(+Accuray)

最も参照しやすい一次資料のひとつが、欧州委員会のM&A審査資料です。ここでは(EEA/UK、2017–2019の推定として)Linac供給の主要プレイヤーが整理され、**Varian 40–50%、Elekta 30–40%、Accuray 10–20%**と記載されています。

同資料は、カテゴリが変わると勢力図が変わることも示しています:

  • Brachy:Elektaが強い(準デュオポリーの形)
  • Proton:Varian/IBA/Hitachiが主要プレイヤーとして整理

つまり、「放射線治療装置の世界シェア」は一言では言えず、**“何の装置の話?”**を揃えるのが第一歩です。


3) 地域ごとの特徴(ざっくり。なぜ偏るのか?)

北米(米国中心)

  • 特徴:大型病院・がんセンターが多く、更新(replacement)サイクルも明確。ソフト・サービス含めた“エコシステム”が強い企業が有利。
  • 傾向:一般にVarianが強い地域として語られることが多い(サービス網・installed baseの影響が大きい)。※ただし公開の地域別“正確な%”は資料により差が出る点は注意。

欧州(西欧+北欧など)

  • 特徴:公的医療比率が高い国が多く、**入札・調達(tender)**の影響が大きい。標準化・ガイドライン運用も強い。
  • 傾向:Elektaは北欧企業で、欧州での存在感が語られやすい。一方で、実際の導入は国ごとの入札条件・既存装置との互換性・保守契約で決まる。

中国

  • 特徴:市場規模が大きく、国策・調達・現地生産の要件が効きやすい。
  • 傾向:Elektaは「40年以上の中国での経験」「中国国内での製造」「JV」などを投資家向け資料で明確に打ち出しています。
    同時に、中国では国内メーカーの台頭も進み、たとえばUnited ImagingはCT-Linac(uRT-linac)などを製品として展開し、関連する物理特性・QAの論文も出ています。
  • まとめ:中国は「海外大手 vs 国内勢」の構図が他地域より強く、**“現地化(製造・サービス・教育)”**が競争力になりやすい。

インド

  • 特徴:がん患者数に対して放射線治療リソースが不足しやすく、コスト・設置性・保守性の制約が強い。
  • 傾向:インドでは、BARC(Bhabha Atomic Research Centre)が国産のコバルト遠隔治療装置を開発していることが公式に示されています。
  • まとめ:最新Linacの普及も進む一方で、地域や施設の条件により、**“維持できる装置”**の優先度が上がるのがインドのリアル。

アフリカ(地域差が非常に大きい)

  • 特徴:電力・保守部品・エンジニアリング体制の制約が、装置選定に直結する。
  • 傾向:コバルト装置はLinacより購入・維持コストが低い一方、臨床上の限界もあり、議論が続いています。
    また、アフリカではLinacのダウンタイム問題が深刻になり得る、という指摘もあります。
  • まとめ:アフリカは「何が最先端か」より、**“止まらず回り続けること”**が最大価値になりやすい。

日本

  • 特徴:品質・安全(QA/QC)文化が強く、治療計画・IGRT・固定再現性など運用品質への要求が高い。
  • 傾向:装置はVarian/Elektaを中心に導入されつつ、粒子線領域も含め国内外プレイヤーが共存。たとえば日本の陽子線領域ではHitachiやMitsubishi系の動きが継続的に報じられています。
  • まとめ:日本は「装置スペック」だけでなく、**運用設計(人・QA・ワークフロー)**が導入の成否を決めやすい。

4) 結論:地域差は「技術」よりも「調達・保守・人材・インフラ」で生まれる

放射線治療は“装置産業”でありつつ、実際には

  • 公的/民間の調達方式
  • 保守契約とサービス網
  • 電力・部品供給・教育体制
  • 既存装置との互換性(TPS/OIS/IGRT/SGRT等)
    で勝敗が決まりがちです。

そして世界全体としては、放射線治療アクセスの偏在が大きく、「必要数に対して不足している」という問題意識も繰り返し示されています。


おまけ:現場の“買い手側”が見るべきチェックリスト(装置メーカーを問わず効く)

  • 保守の現実:平均復旧日数、部品供給、代替手段(治療継続計画)
  • 運用設計:QA体制、スタッフ教育、標準手順(属人化しない仕組み)
  • ワークフロー適合:IGRT/SGRT/適応照射、計画〜照射のボトルネック
  • 固定・再現性:高精度化するほど、固定具とセットアップ再現性が効く(ここはメーカー横断)

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