材料委員会で「よく分かってる」と褒められる:放射線治療のディスポ見直し5選

放射線治療は1件あたりの単価が高い一方で、日々の運用は**ディスポーザブル(消耗品)**の積み重ねです。
材料委員会が評価するのは「とにかく安く」ではなく、**安全・品質・継続供給・総コスト(手戻りまで含む)**を理解したうえでの合理化です。
ここでは、放射線治療部門が“材料委員会・病院に褒められやすい”見直しポイントを 5つ に絞って紹介します。
1) 「高額事故リスク」につながる消耗品を最優先で見直す(安全×コスト)
まず最初に押さえるべきは、**“安くしてはいけない領域”**の線引きです。
放射線治療で事故や再照合の増加につながりやすいのは、例えば以下のような領域。
- 患者固定に直結する消耗品(マスク周辺・付属品・皮膚保護材など)
- 位置再現性に影響する使い捨て部材(マーキング・固定補助)
- 画像照合やセットアップを乱す要因になるもの
材料委員会は「安くした結果、再撮影・再セットアップ・クレーム・インシデントが増えた」を最も嫌います。
**“ここは品質担保が最優先”**を先に示すと、議論が一気に通りやすくなります。
ひとこと:
“単価の安さ”より“事故確率を上げない”が最上位のKPIです。
2) 「総コスト」で見直す:単価ではなく“手戻りコスト”を数字で出す
材料委員会に刺さるのは、単価比較よりも 総コストの説明です。
総コストは次の式で説明できます。
- 総コスト =(材料費)+(再撮影・再セットアップの人件費)+(照射時間延長)+(患者ストレス・クレーム対応)
※時間延長は装置稼働にも影響
具体的には、材料見直し前に2週間だけでいいので、以下をメモしておくと強いです。
- 再セットアップ回数(/患者、/日)
- 再撮影(CBCT追加、撮り直し)回数
- 1件あたりの平均延長時間(分)
- “合わない・痛い・不安”による中断/再作製の件数
この「手戻り」を減らす提案は、材料委員会から見ると医療安全+経営改善の両方に見えます。
3) “規格統一”で勝つ:品目数の削減(SKU削減)は最強の改善
病院全体で喜ばれるのは、単価交渉よりも **品目数を減らすこと(SKU削減)**です。
放射線治療は施設内で“現場流派”が生まれやすく、似た用途のディスポが複数並立しがちです。
見直し対象の例:
- 同用途のテープ/マーキング材が複数
- 皮膚保護材が複数
- 使い捨て補助具が「個人買いの文化」で増殖
やることはシンプルで、用途カテゴリで1〜2品に統一し、例外を明確にします。
- 標準品:原則これ
- 例外品:特定症例(皮膚脆弱・疼痛強い等)に限定
- 例外の条件:誰でも判断できる文章で
SKU削減は、発注・在庫・棚卸・期限管理・教育が一気に楽になります。
材料委員会が“組織的に成熟した提案”と感じるポイントです。
4) “供給安定”と“代替手順”をセットで出す(BCPがある部署は強い)
コロナ以降、材料委員会が重視するのが 供給不安です。
放射線治療は継続性が命なので、ディスポこそ **BCP(代替策)**が評価されます。
チェックポイント:
- 供給が止まった場合の代替品はあるか
- 代替時の手順書(誰が見ても同じ動きができるか)
- 最低在庫(日数)と発注点のルール
「安いが欠品しやすい」より、「安定供給で運用が崩れない」方が病院としては価値が高い。
ここまで書けると、材料委員会側は“安心して採択”できます。
5) “廃棄ロス”を潰す:期限切れ・開封ロス・セット組みの最適化
意外と効くのが、単価ではなく 廃棄ロスの削減です。
放射線治療では、症例の波や急なキャンセルで「使いかけ」「開封済み」「期限切れ」が発生します。
見直しのコツ:
- 使用頻度が低いものは 小包装へ(開封ロス減)
- “セット組み”を見直し:使わない物がセットに入っていないか
- 治療別の標準セットを作る(頭頸部、乳房、骨盤など)
- 期限管理:棚の“手前から使う”が徹底できる配置にする
この改善は病院全体の材料費に直結し、しかも現場の負担も減るので、非常に褒められます。
まとめ:褒められるのは「安くした」ではなく「崩れない運用を作った」
材料委員会で評価される提案は、結局この3点に集約されます。
- 安全(事故確率を上げない)
- 運用(標準化・教育・代替策)
- 総コスト(手戻り・廃棄ロスまで含む)
「放射線治療は単価が高いからディスポは安くしたい」という発想を、
**“ディスポを最適化して、治療の再現性と稼働率を上げる”**に言い換えるだけで、提案の格が上がります。


