闇金うしじまくんに学ぶ、5億円のリニアックを買う時の心得5選

(放射線技師として“ちゃんと給料をもらってる大人”向けの話)
※最初に断っておくと、闇金の世界を肯定する話ではありません。
ただ、あの作品が突きつけるのは一貫してこれです。
「数字から目を逸らした人間から、人生が壊れる」。
リニアックは“医療の正義”であり、同時に病院にとっては5億円級の巨大投資です。
現場で「良い装置が欲しい」と言うのは簡単。でも、決裁側が見ているのは“装置”ではなく、投資として破綻しない設計です。
放射線治療の最前線にいる技師だからこそ、病院に刺さる「心得」を5つにまとめます。
1) 「月いくらで払える?」で考えるな。「総額でいくら吸われる?」で考えろ
うしじまくん世界の基本は、“月々3万円”みたいな甘い言葉で入口に入れて、最後に総額で殺しに来ること。
リニアックも同じ構造が起こりがちです。
装置本体だけ見て「買えそう」に見えても、現実はこうです。
- 保守費(年)
- 部品交換・管球・フラットニングフィルタ周り・冷却系などのライフサイクルコスト
- ソフト/ライセンス更新(TPS/OIS/IGRT/ART/SGRTなど)
- 治療室改修・電源・空調・遮蔽
- QA機器・測定器の追加
- 教育・立ち上げ・移行期間の生産性低下
つまり、比較すべきは「本体価格」じゃない。
**TCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)**です。
大人の心得:
見積書は“本体”でなく、10年スパンのTCOで戦う。
2) 「買えば儲かる」じゃない。「回せなければ地獄」
高額投資の怖さは、買った瞬間ではなく、買った後に回らない時です。
リニアックは買っただけでは価値を生みません。
価値を生むのは、結局この2つ。
- 稼働率(枠が回るか)
- 手戻り率(再セットアップ・再撮影・延長が減るか)
決裁者が本当に知りたいのは、「この装置で何件増えるか」より
**“この装置を導入しても、現場が詰まって回らなくならないか”**です。
だから提案はこう言い換えると強い。
- 「最新機能がすごい」ではなく
- 「手戻り率を◯%下げて、1日あたりの実照射枠を◯枠増やす」
大人の心得:
5億円の装置は、スペックでなく“運用設計”で儲かる。
3) 「一括で買うか?」より「詰んだ時に逃げられるか?」
うしじまくん世界で詰む人は、“逃げ道のない契約”を結んだ人です。
リニアックも、逃げ道がない契約をすると詰みます。
- 保守契約の条件が硬すぎる
- ソフト更新が実質強制でコストが読めない
- 部品供給・納期・代替機対応が弱い
- “メーカー都合で止まる”のに病院側の損失が補填されない
病院経営で最悪なのは、装置ダウン=治療停止。
売上だけでなく、患者対応・紹介元の信頼・スタッフ疲弊まで全部持っていかれます。
交渉で見るべきは、値引きより先にここ。
- 重大故障時のSLA(復旧目標)
- 代替手段(他院連携も含む)
- 部品在庫と供給体制
- 保守の範囲と例外条件
大人の心得:
「安く買えた」より「止まらない契約」が勝ち。
4) 「最先端」に酔うな。「うちの患者層で何が回るか」を先に決めろ
闇金にやられる人は、だいたい“自分は特別だから大丈夫”と思っている。
医療でも似た罠があります。
「MRgRTが…」「適応照射が…」「AIが…」
全部大事。でも、導入前に決めるべき順番はこれです。
- うちの患者層(部位別・病期別・紹介ルート)
- 今のボトルネック(計画?照合?固定?人?)
- “何を上げれば”患者も病院も得するか
- そのために必要な機能だけを積む
装置の“夢”を積み上げると、見積が膨らむだけでなく、
運用が複雑化して回らなくなることがある。
大人の心得:
欲しい機能じゃない。回る機能を買う。
5) 「技師は現場だから関係ない」は嘘。技師が握るのは“投資回収”そのもの
最後に一番言いたいこと。
放射線技師は「機械を回す人」ではなく、リニアック投資における稼働率責任者です。
- セットアップ手順の標準化
- 固定の再現性
- IGRTのルール
- QAの効率化
- データ管理の整備
- 教育設計(属人化を潰す)
これが整うと、装置は“5億円の箱”から5億円のエンジンになります。
逆に、ここが整わないと、どんなに良い装置でも“借金製造機”になります。
大人の心得:
リニアックの価値は、技師の運用で決まる。
だから技師は、経営の言葉で話せると最強になる。
まとめ:5億円のリニアックを買う時、守るべきはこの5つ
- 本体価格でなくTCOで見る
- スペックでなく稼働率・手戻り率で勝つ
- 値引きより「止まらない契約」を取る
- “回る機能”だけを買う
- 投資回収の鍵は技師の運用設計

