電子線は“局所・浅い領域の職人技”、X線は“全身・深部の汎用OS”へ

- X線(IMRT/VMAT/SBRT):深部腫瘍・複雑形状・多臓器回避に強い。今後も主役。
- 電子線:浅い病変・体表近傍・術後胸壁などで「線量を皮膚〜浅層に集中」させる武器。今後も残るが、**適応がより“狭く深く”**なる。
2) SGRT時代に電子線が得する場面
SGRTは「表面」を高精度に見ます。つまり、表面近傍が勝負の電子線と相性が良い。
電子線×SGRTで強くなる典型
- 乳房(特に術後胸壁・ブースト:浅層標的)
- 皮膚腫瘍・瘢痕・ケロイド周辺の照射
- 浅いリンパ節領域(選択的に)
- 小照射野の電子線ブースト(位置ズレが致命的)
電子線は1cmずれるだけで線量がガラッと変わるので、
SGRTで「毎回同じ体表形状に戻す」価値がX線以上に出ることがあります。
3) 逆に、CBCT時代に電子線が苦しい場面
CBCTは「内部」を見ます。深部や臓器変動の管理には強いけど、電子線は
- 内部の微小なズレより入射面のズレ・空気ギャップ・斜入が効きやすい
- 体表形状が変わるとPDDも横方向散乱も変わる
つまり、CBCTだけ頑張っても電子線の“ズレ要因”は取り切れない。
ここが電子線の難しさです。
4) SGRT+CBCTの「役割分担」が未来の標準
今後の現場の最適解は、だいたいこの形に収束します。
① SGRT(毎回のセットアップの入口)
- 体表の再現(肩の落ち・胸郭回旋・腕位置・乳房形状)
- “まずズレない土台”を作る
- 電子線はここが特に重要
② CBCT(内部の最終確認)
- 深部ターゲット・OAR位置の確認
- 必要なら補正(骨合わせ・ソフトティッシュ合わせ)
- X線治療はここが主戦場
③ 使い分けの基本
- 電子線:SGRTの価値が大きい(表面こそ正義)
- X線:CBCTの価値が大きい(内部こそ正義)
- 両方使う症例(乳房など):SGRTで“姿勢”→CBCTで“内部”の二段ロケットが最強
5) これからX線治療はどう進化する?
X線は今後、SGRT+CBCTに加えて
- オンライン適応(ART)(CBCTベースも含む)
- ログベースQA
- 自動輪郭・自動プラン(AI)
が乗って、「治療の標準化・高速化」に向かいます。
結果として、
- セットアップの誤差が減る
- マージンを小さくできる
- OAR線量を下げやすい
- スループットが上がる
という方向。
6) 電子線はどう進化する?
電子線の未来は「機械の進化」よりも、まずは 運用の高度化です。
- SGRTで空気ギャップ管理・斜入を減らす
- ボーラスの“再現性”を上げる(3Dプリント、個別ボーラス)
- 電子線ブーストの適応を「本当に効く症例」に絞る
さらに中長期では、施設によっては
- 電子線の適応がX線(IMRTブースト)に置き換わる
- ただし皮膚〜浅層を守りたい/深部を落としたい症例では残る
という二極化が進むはずです。
7) ひとことでまとめると
- X線:CBCTと適応治療で“より狙って当てる”方向へ
- 電子線:SGRTと個別ボーラスで“再現性を極める”方向へ
- SGRT+CBCT:表面と内部の二重管理が標準化して、マージン最適化が進む


