MRI-Linacだけじゃない。MRI・ADC・DWIが変えるSBRTの未来

MRIを用いた放射線治療研究が今あつい
MRI(ADC・DWI)とDECTが変えるSBRT治療効果判定の未来
近年の放射線治療研究において、
最も注目されているテーマの一つが
MRIおよびDECTを用いた画像バイオマーカー研究
である。
特に、
- 肺SBRT
- 肝SBRT
- 転移性腫瘍SBRT
- 前立腺SBRT
- 頭頚部癌
などでは、
治療前後のMRI変化を用いて治療効果を予測しようという研究が世界中で急速に進んでいる。
ASTROでもESTROでも、
近年の演題数は明らかに増えている。
なぜ今MRIなのか。
それは、
「腫瘍が小さくなるのを待っていては遅い」
からである。
RECISTの限界
従来の治療効果判定は、
CTで腫瘍径を測定する方法が中心だった。
いわゆるRECIST評価である。
しかしSBRTでは問題がある。
例えば肺SBRT。
治療後に線維化が起きる。
すると、
- 腫瘍なのか
- 炎症なのか
- 線維化なのか
区別が難しい。
肝臓でも同様である。
腫瘍サイズだけでは評価できない。
理論と臨床は違うのである。
MRIは「生きている腫瘍」を見ている
MRIの魅力はここにある。
CTが形を見る検査だとすると、
MRIは組織の変化を見る検査である。
特に注目されるのが、
- DWI(Diffusion Weighted Imaging)
- ADC(Apparent Diffusion Coefficient)
である。
ADCとは何か?
簡単に言えば、
水分子の動きやすさを数値化したもの。
腫瘍細胞が密集していると、
水分子は動きにくい。
つまりADCは低い。
一方、
放射線で細胞が壊れると、
細胞密度が低下する。
すると水分子が動きやすくなる。
ADCが上昇する。
つまり、
腫瘍が縮小する前に
ADC変化が起こる
のである。
ADCは早期効果判定の可能性
近年の研究では、
治療後数週間〜数か月でのADC上昇が
局所制御率や治療反応と関連することが報告されている。
特に、
- 肝細胞癌
- 肝転移
- 前立腺癌
- 頭頚部癌
では非常に有望である。
サイズが変わる前に、
生物学的変化を捉えられる可能性がある。
DWIが面白い理由
DWI画像では、
生きている腫瘍が高信号になる。
治療によって細胞が壊れると、
信号変化が起こる。
つまり、
「腫瘍がどこまで生きているか」
を可視化できる可能性がある。
これは将来的なAdaptive RTにもつながる。
MRI-Linacがさらに研究を加速させる
近年、
MRI-Linacが登場した。
代表例としては、
Elekta Unityなどである。
MRI-Linacでは、
治療中にMRIが撮影できる。
すると、
- 腫瘍変化
- 臓器変位
- 治療反応
をリアルタイムで観察できる。
これは従来の放射線治療では不可能だった。
まさに画像誘導治療の次世代形態である。
DECTも負けていない
MRIだけではない。
最近非常に注目されているのが
Dual Energy CT(DECT)である。
DECTでは、
通常CTでは得られない
- ヨード濃度
- 電子密度
- 実効原子番号
などを評価できる。
肝SBRT研究で注目される理由
肝臓SBRTでは、
局所制御だけでなく
正常肝機能温存も重要である。
近年、
DECTのヨードマップを用いて
- 肝血流評価
- 肝障害予測
- 機能変化評価
を行う研究が増えている。
単なる形態評価ではない。
機能評価なのである。
MRIとDECTの融合が始まる
現在の研究トレンドは、
MRIかDECTか、
ではない。
MRIとDECTの融合である。
例えば、
MRIでは
- ADC
- DWI
を評価する。
DECTでは
- ヨード濃度
- Perfusion情報
を評価する。
両者を組み合わせることで、
腫瘍の
- 細胞密度
- 血流
- 生存性
を同時に解析できる。
まさにRadiomics時代の研究である。
AI時代に価値が上がる研究
さらに面白いのはAIとの相性である。
現在、
RadiomicsやDeep Learningを用いて
MRIやDECTから
予後予測モデルを構築する研究が急増している。
従来は人間が見ていた画像を、
AIが数百〜数千の特徴量として解析する。
すると、
治療前から
- 局所制御
- 再発
- 生存率
を予測できる可能性がある。
AI時代でも価値が上がる研究なのである。
私たちの研究領域もまさにここ
現在、
世界中で
- MRI
- ADC
- DWI
- DECT
- Radiomics
- AI
を組み合わせた研究が進んでいる。
特に、
SBRT後の早期効果判定は未解決の課題が多い。
だからこそ研究価値が高い。
腫瘍が小さくなったかではなく、
腫瘍が生きているか。
ここが次世代放射線治療研究のテーマなのである。
まとめ
MRI(ADC・DWI)およびDECTは、
単なる画像検査ではない。
放射線治療の未来を変える
画像バイオマーカー
である。
これからのSBRT研究では、
- 腫瘍径
- RECIST
だけでは不十分になる。
重要なのは、
- 細胞密度
- 血流
- 生存性
- 機能変化
である。
装置ではなく戦略。
高精度ではなく患者利益。
そして、
MRIとDECTがその戦略を支える時代が始まっているのである。
参考文献
- American Society for Radiation Oncology Annual Meeting Proceedings
- European Society for Radiotherapy and Oncology Scientific Reports
- Radiological Society of North America Imaging Biomarker Consensus
- International Atomic Energy Agency Radiation Oncology Imaging Guidance
- Lambin P, et al. Radiomics: extracting more information from medical images using advanced feature analysis.
- Koh DM, Collins DJ. Diffusion-weighted MRI in oncology.
- Gillies RJ, Kinahan PE, Hricak H. Radiomics: Images Are More than Pictures.

